会社名 | アルトリア・グループ |
ティッカー | MO |
上場 | 1923年 |
連続増配年 | 10年(分社前含49年) |
決算 | 12月 |
配当月 | 1・4・7・10月 |
本社所在地 | バージニア州 |
セクター | 生活必需品 |
S&P格付 | BBB+ |
■目次
アルトリアとは
事業別売上
売上の9割以上がタバコです。88%が旧来からある紙タバコ、8%がiQOS等の無煙タバコの売上です。ワインの売上も3%程度ありますが、売上先分散によるリスク分散としては弱いと言えます。
地域別売上
フィリップモリスから米国事業のみを切り離している関係で、売上は米国100%となります。米国の人口は中朝的に伸びるプラス要因はあるものの、米国での喫煙率の低下や、訴訟リスクの高さをはらんでいます。
主な保有ブランド
主な保有ブランドは以下になります。
- マルボロ(世界シェア1位)
- ラーク
- パーラメント
- バージニアスリム
私も今は非喫煙者ですが、大学生の頃はマルボロ吸ってたのを覚えていますね。なぜだかわからないけど、そればかり吸っていた記憶があります。タバコは中毒性が高く、ブランドも強く簡単にスイッチされない、新規参入の障壁が高いことを考えると、高い経済的な堀を築いていると言えると思います。
収益力
売上・純利益・営業CF
売上・純利益・営業CFは右肩上がりで成長しています。直近はほぼ横ばいなもの、10年間では1.5倍に伸長しました。
営業CFマージン
営業CFは安定して15%以上を維持しています。直近では高水準基準の30%も越えてきています。
EPS
2009年のEPSが1.54から、2018年には3.68と9年間で2.3倍に成長しています。
2016年、2017年のEPSが飛び抜けていますが、これは特殊要因です。アルトリアが10%保有するインベブがSABミラーを買収したことにより会計上の利益が増えた模様です。
株主還元
連続増配実績
連続増配実績は10年。直近の株価下落により配当利回りは6.65%まで上昇しています。
連続増配実績は2つの見方があります。2007年にクラフトフーズをスピンオフ、2008年フィリップモリス・インターナショナルをスピンオフした関係で減配となり2009年からの連続増配10年とする見方。
上記特殊要因を除いた実質ベースでは49年連続増配の実績があります。
配当
配当は順調な右肩上がりとなっています。2009年の1株1.32$が、2018年には3$となり9年間で2.7倍に伸びました。
増配率は7%〜8%を維持しています。直近は18.1%ですが、基本は7-8%あたりの増配を今後も維持し続けられるかが1つの焦点になりそうです。
自社株買い
自社株買いも積極的に行っており、2009年から2018年にかけて総株式数は9%減少しました。近年の傾向では、年間0.5%〜1%の自社株買いが期待できそうです。
配当性向
配当性向は70%〜90%のレンジを推移しています。ひとまずタコ足配当(配当性向100%越え)になってないのでOKです。直近で配当性向100%を越えているフィリップモリスに比べると減配のリスクは低い見立ててよさそうです。
総還元性向(配当+自社株買い)
自社株買い+配当の総還元性向は、5年平均で5.42%。2018年は株価下落によって8.1%まで上昇しています。
将来予測
アルトリア長期財務戦略
アルトリアは2018年の財務ハイライトの中で、長期財務戦略目標として以下を掲げています。
GROW:adjusted diluted EPS at an average annual rate of 7% to 9%
(訳)調整後EPSの年間成長率は7%〜9%を目指す
MAINTAIN:a dividend payout ratio target of approximately 80% of adjusted diluted EPS
(訳)配当性向は80%前後を目指す
過去の実績から見ても、決して突飛な達成不可能な目標ではなく現状の成長を維持できれば十分に達成可能な数字だと思います。
投資回収シミレーション
- 取得単価:47.93$
- 増配率:7%
- 条件:税引前
- 結果:2030年に元本回収完了
このように収益力×高配当増配×低バリュエーション株は、リスクが高いため早期に元本回収が可能となります。株価がどれだけ下がっても、増配が続く限りはホールドする方針です。
将来実質利回りシミレーション
- 取得単価:47.93$
- 増配率:7%
- 条件:税引前
- 結果:2030年には利回り12.31%
投資元本が回収できる2030年には、なんと実質利回りは12.31%想定です。長期で稼ぐ力があり、低バリエーションであれば、このように将来驚異的なリターンをもたらしてくれる可能性があります。
将来リスク検証
FDA規制
BTI(ブリティッシュ・アメリカン・タバコ)の検証でも書きましたが、そもそもがタバコ会社は規制や訴訟との戦いです。こちらの記事でよくまとめられていますが、タバコ会社への投資は正気の沙汰ではできないレベルでリスクの高いものでした。そしてそのリスクによる低バリエーションと、高い収益力から生み出される高配当こそが、これまでのリターンの厳選となっています。
タバコ人口減少
先進国をはじめとする喫煙人口が減少する未来は誰にでも明らかだと思います。私も今後先進国でタバコ人口が増えていく未来は予想していません。それでも楽観的に買い向かうのは、値上げで対応できるからです。
紙タバコのビジネスモデルは喫煙者数×喫煙本数×単価です。
そのため仮に喫煙者数が少なくなっても、単価を調整する事で収益を上げることが可能です。そしてこれは、中毒性の高いタバコだからこそできる、またマルボロを始めとする銘柄ブランドが強く値上げしても簡単に他社製品に乗り換えられないという強みを持つからこそ可能なのです。
電子タバコJUUL&大麻のCRONOS
リスクでありチャンスなのは、電子タバコJUULと大麻のCRONOSの躍進です。アルトリアはJUUL株を35%、CRONOS株を45%保有しています。
大麻はなんとなく”これからブームが来そう”な予感はあります。
まとめ
- 売上は右肩上がり傾向
- 営業CFマージンは安定して15%以上
- 連続増配は実質49年
- 自社株買いも積極的
- 増配率は平均7%見込める
- 規制等リスクが高いため割安
- 直近利回りは6.65%tと超高配当
- 強力な中毒性とブランドによる値上げ戦略が可能
- 電子タバコや大麻ビジネスが新たな柱
みなさまの米国株投資のお役に立てたなら幸いです!