パット・ドーシー著の「千年投資の公理」を改めて読みました。わたしの長期投資に影響を与えた名著。長期投資家にはめっちゃおすすめです。
パンローリング
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この本で語られていることは、以下の2点にシンプルに集約されています。
- 永続的に利益を生む優良企業を見つける方法
- その優良企業を割安で購入し保持する方法
株式投資の極意とは、いい銘柄を見つけて、いいタイミングで買い、いい会社である限りそれを持ち続けること。これに尽きます ーウォーレン・バフェット
バフェット流の長期投資を目指す方に、おすすめです。
この記事では「いかに優良企業を見つけ出すか」に着眼して要点を紹介したいと思います。
優良企業とは「経済的な堀」を持つ企業である
では優良企業とは何か?具体的には以下4つの点で優れている企業を指します。
- 無形資産(ブランド)を保持している
- 顧客の乗り換えコストが高い
- ネットワーク効果のある事業
- コストの優位性がある
無形資産(ブランド)
企業がブランドを持っているかどうかの判定をどう行うか、この本では非常に明快な指針を打ち出しています。
似たような競合製品よりもプレミアムを上乗せした価格で販売できるかどうか
ティファニーはライバル企業が販売しているのと同じ仕様の平均的なダイヤモンドを、きれいな青い箱に入れるだけで消費者により高い価格で売ることができる。なんて高い箱代だ
同じ種類のダイヤモンドがブランドがあるかないかによって、これだけつく値段が違います。
- ティファニー:$13,900
- 無名ブランド:$894
※本書執筆時点で、一・〇八カラット、Gカラー、VS1のアイデアルカットダイヤモンド
つまりよく知れ渡った名前であっても、一見ブランドが優れているように見えますが、顧客にプレミアムを上乗せできなければそれはブランドとは呼べません。
ソニーが有名ブランドだということは間違いない。しかし、DVDプレーヤーを買うためにフィリップスやサムスンやパナソニックの同種の製品と比較したとき、ソニーの名前が付いいるという理由だけで他社製品より高い価格を支払うだろうか
ここには注意が必要ですね...いままで購入してきたもの、もしくはウィンドウショッピングで同品質・同機能で安いものがあるにも関わらず、人々が上乗せ金額を払って購入しているものを思い浮かべてください。強力なブランドを保有している企業を見つけるチャンスになります。
顧客の乗り換えコスト
乗り換えコストとは、A社の製品からB社の製品に換えたときの利益がそのときのコストよりも小さいこと
法人向けにサービスを提供する企業は、さまざまな意味でレストランや小売業とは対極にある。このセクターに幅の広い堀が見つかる割合がきわめて高いのは、これらの企業が顧客の業務過程と一体化することで乗り換えコストが高くなり、それが価格決定力を生むからだ
- 外食や一般小売よりも法人向けサービス
- ハードウェアよりもソフトウェア
- 規制障壁のあるヘルスケア
あなたの身の回りのサービスで、切り替えるのが面倒だな。サービスに満足してないけど、新しく探したり契約したりする方が面倒で放置してる。そんな企業は、乗り換えコストの高い事業を展開している可能性が高い。
ネットワーク効果
ネットワーク効果は、物理的な資本に基づいた事業よりも情報や知識移転が基盤となる事業においてより多く発揮される
マイクロソフトのケースも比較的分かりやすい。たくさんの人たちがワードやオフィスやウィンドウズを使うのは、要するにたくさんの人たちがワードやオフィスやウィンドウズを使っているから
みんなが使ってるから、自分もそれを使わざるを得ない。というサービスがあれば、それはネットワーク効果をもつ事業であると言える。
コストの優位性
生産過程や場所、規模、独自のアクセスなどによって製品やサービスをライバルよりも安い価格で提供できる企業にはコスト上の優位性がある
場所によるコスト的な優位性や独自の資産を所有していることによる優位性はずっと長く続くし、信頼することができる。場所的な優位性を持つ企業は小さな独占企業になっている場合が多く、世界的な天然資源の鉱床を所有していれば、それに代わる優位性を探すのはかなり難しい。
ゴミ処理業者や砂利メーカーなどの、いわゆるNIMBY(「ノット・イン・マイ・バックヤード」=必要だが自分の近所には来てほしくない)企業だ。自分の近所にゴミ廃棄場や石切り場があってうれしい人はいないため、すでに存在する廃棄場や石切り場には非常に高い価値がある。そして、新たに認可を得ることは、不可能
【注意】誤解されている堀
筆者の経験では、以下は強力だと誤解されやすい壁に関して紹介している。
- 素晴らしい製品
- 大きなマーケットシェア
- ムダのない業務執行
- 優れた経営陣
「誤解されている堀」の代表的なものだ。この四つの罠にかかると、実際にはありもしない堀を持っている魅力的な企業に見えてしまう。
すぐに模倣されたり、陳腐化したり、永続性のない一時的な優位性ではダメだということだ。
騎手ではなく、馬に賭けろ。経営陣も大事だが、堀を持つことの重要性にははるかに及ばない。
まとめ
- 無形資産(ブランド)を保持している
- 顧客の乗り換えコストが高い
- ネットワーク効果のある事業
- コストの優位性がある
セクターや銘柄選びの参考になれば幸いです!
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