結論から言うと、私は買います。がわりと人を選ぶ銘柄かなと思いました。
BTIの良いところ
- ポンドベースで連続増配19年の銘柄
- 現在7%越えの配当利回り
- 収益力は半端なく高い
- 今後も増配率は最低4%は期待できそう
- 配当性向は80%以下と増配余地あり
- ADRであり2重課税を回避できる
- 株価は2012年頃の水準であり超割安
BTIのここに注意
- ポンドの為替リスクを受ける
- 規制リスクにが消えることはない
- ESG投資の広がりにより株価は低迷する可能性あり
BTI(ブリティッシュ・アメリカン・タバコ)基本情報
会社名 | ブリティッシュ・アメリカン・タバコ |
ティッカー | BTI |
創業 | 1902年 |
決算 | 12月 |
本社所在地 | ロンドン |
セクター | 生活必需品 |
地域別売上
地域はバランスよく分散されていますね。米国が39%、ヨーロッパが24%、ついでアジア・中東20%、北南米・アフリカが17%という構成になっています。
WHOの喫煙率調査ではアジアや中東の喫煙率が高く、また人口の伸びも大きいことから今後はアジア中東・アフリカ等がシェアを伸ばしていく可能性が高いと感じます。
収益力
売上・純利益・営業キャッシュフロー
売上は順調に推移しています。2017年にはレイノルズの株式を取得による外れ値としても、基本的に右肩上がりの売上を出しています。
営業CF>純利益の構造にもなっており、健全な収益を出せていることが伺えます。
営業CFマージン
営業CFは安定して20%以上であり、増減を繰り返しながらではりますが、上昇傾向にあります。
最低レベルの15%のみならず、最高レベルの30%をクリアしてくるあたり、BTIの収益力は半端ないと言えるでしょう。
EPS・DPS
出典:BTI決算資料
EPSも順調な右肩上がりです。EPSの年平均成長率(CAGR)は9.8%、1株配当(DPS)のCAGRは11.9%となっています。
BTIはいくつものタバコ業界を脅かす規制を乗り越えてきました。
- 1966年:米国での最初の健康被害警告
- 1971年:英国での最初の健康被害警告
- 1999年:南アフリカでの広告禁止
- 2003年:タバコ規制枠組条約(FCTC)の組成
- 2005年:カナダでの広告規制
- 2012年:豪での規制
- 2017年:FDA規制と加熱式タバコの成長
株主還元
配当(ポンドベース)
1株配当は、2009年の1£から2.03£へと約2倍になりました。2009年からの増配率はミニマム4%以上をキープしており、業績に応じて10%の増配も行っています。
配当性向
配当性向は他社よりも低く、まだ増配の余地は十分に残されていると言えます。競合のPM(フィリップモリス)は直近3年で100%前後でかなり厳しそうですが、BTIは80%以下の水準で推移しています。
総還元性向
自社株買いを含んだ総合的な株主利回りの総還元性向は、直近5年平均で4.78%。2017年からの株価下落に伴い、直近では7〜8%のかなりの利回りになっています。
配当月
配当は年4回です。3月、8月、11月、2月に支払われます。二重課税のないADR銘柄なのでも、かなりありがたいですね。NISA枠で購入したら7%がまるっと入ってきます。
将来予測
元本回収シミレーション
投資元本の回収シミレーションを行ってみます。
執筆時点2019/07/25の株価37.82$で投資を行い、今後も4%の増配を繰り返すとどうなるかをシミレーションしてみると,
2030年には累積配当が40.3$となり投資元本を上回る結果となりました。
将来規制を受け減益するリスクをとっている分、増配が維持できれば早々に元本回収が可能となります。
将来利回りシミレーション
投資元本が回収できる2030年には、当初の投資に対する利回りは10.49%になっている想定です。投資元本が回収されており、10%の利回りでまわってくれればかなりの御の字ですね。
このようなシミレーションは、収益力があり連続増配を大事にしている一部の優良銘柄のみでこそ可能です。収益力がなかったり平気で減配する会社では到底こんな将来は描けません...
テクニカルチャート分析
月足
月足レベルでは200月移動平均線をサポートに上昇トレンドを描いています。EPSや配当は順調に増加しているにも関わらず、この株価は2012年以来の水準であり、超長期的には押し目買いチャンスに見えます。
週足
FDAによるメンソール規制の報道を受け、約60ドル付近から一時30ドル割れまで売り込まれました。利回りは一時8%にのせ、減配も織り込まれかけていましたが、現在は反発しており50週移動平均線の攻防ラインにいます。
下値を切り上げながら上昇しているので、落ちてくるナイフはひとまず突き刺ささったように思えます。
日足
50日移動平均線が200日移動平均を上回ってこれれば、上昇トレンドが期待できそうです。
リスクをどう捉えるか
ここからは減配リスクを検証していきます。BTIは日本の投資家にとって大きく以下3つのリスクが存在していると思います。
ポンドベースによるリスク
BTIはイギリス本社ため、配当はポンドで支払われます。証券会社を通じてポンド→ドルと換算され支払われるため、さらに円も含めると3つの為替要素が加わるので、より為替リスクを受けやすくなります。
ポンドベースでは19年連続増配ですが、実はドルベースで換算すると、増配が昨年で途切れています。
私にとってはあくまで為替は読めないものであること、またADRであることにより2重課税が回避できることと相殺とし、あくまで「収益力が高く連続増配の可能性が高い優良銘柄に投資する」ことを方針としてリスクテイクすることとしています。
規制リスク
直近ではFDAによるメンソールのリスクがあります。今後もさまざまな規制との戦いになるでしょう。でもぶっちゃけ僕は楽観的に捉えています。
- グローバル市場は成長する
- 規制が入っても中毒性の高い製品のため、値上げで対抗できる
- 直近のFDAによるメンソール規制影響は織り込んだ可能性あり
タバコ株は規制との戦いでした。それでも19年増配を続けているBTIの実績を買い、今後も成長していくだろうと見立てています。
今後も業界を揺るがすような規制報道があると思いますが、ホールドできる人のみにおすすめできる銘柄と言えます。
機関投資家におけるESG投資の広がり
ESGとは、環境(Environment)、社会(Social)、ガバナンス(Governance)の頭文字を取ったもので、近年機関投資家はかなりこれを気にします。要は「年金とかで健康を害する商品を売ってる会社の株を買うのはどうなんだっけ?」という流れです。
つまり機関投資家は、儲かるとわかっていてもBTIをESGの観点で買いたくても買えない可能性があるということです。そうしてこの流れはきっと続くでしょう。
短期的な需給としては、機関投資家の大きな買いが入ってこない限りは株価の上昇は見込めません。があくまで私の方針は配当に重きを置いているため、投資元本は少ない(株価は低ければ低いほどよい)ということになります。
短期の株価の上昇(キャピタルゲイン)よりも配当(インカムゲイン)を重視する投資家、またESG等を気にしない個人投資家にのみおすすめです。
まとめ
BTIの良いところ
- ポンドベースで連続増配19年の銘柄
- 現在7%越えの配当利回り
- 収益力は半端なく高い
- 今後も増配率は最低4%は期待できそう
- 配当性向は80%以下と増配余地あり
- ADRであり2重課税を回避できる
- 株価は2012年頃の水準であり超割安
BTIのここに注意
- ポンドの為替リスクを受ける
- 規制リスクにが消えることはない
- ESG投資の広がりにより株価は低迷する可能性あり
みなさまの投資判断の一助となれば幸いです!
Have a good income life!